北海道旅行&観光スポット【ii-hokkaido.com】 運営者Yoyoです。
広大な大地をバイクで駆け抜ける北海道ツーリングは、多くのライダーにとって一生に一度は叶えたい夢であり、到達すべき頂点のような旅ですよね。
でも、いざ計画を立てようとすると「結局いつ行くのが正解なの?」と迷ってしまうことはありませんか?
インターネットで「北海道 ツーリング おすすめ時期」と検索しても、新緑が美しく晴天率の高い6月が良いという意見や、気温が安定してキャンプに最適なベストシーズンの7月や8月こそが王道だという声、あるいは紅葉とグルメを堪能できる9月上旬や秋こそが至高だというベテランの主張など、情報があふれていて本当に悩みます。
私自身、初めての北海道ツーリングでは時期選びに失敗し、真夏なのに震えながら走った経験があります。
また、時期によって大きく変わるフェリーの費用や混雑状況、決して侮れない雨や寒さへの対策も気になるところです。
この記事では、そんな迷えるあなたのために、北海道を知り尽くした私の視点で、目的やスタイルに合わせた最適な季節の選び方を丁寧にご紹介します。
記事のポイント
- 初心者やベテランなど目的別に異なるベストシーズンの選び方
- 時期ごとの具体的な気温や雨のリスクと服装のレイヤリング術
- フェリー予約のタイミングや旅費を抑えるための賢い計画術
- 年間5,000件以上発生するエゾシカ事故など北海道特有の危険回避法
目的別に見極める北海道ツーリングのおすすめ時期

一口に「北海道」といっても、日本の国土の約22%を占めるこの大地は、季節やエリアによってその表情を劇的に変えます。
「いつ行くか」は、あなたが「何を見たいか」「どんな走りをしたいか」によって全く異なる正解が存在します。
ここでは、あなたの旅のスタイルや目的に合わせて、どの月が最も輝くのかを具体的に解説していきます。
初心者でも安心な7月や8月の気候と服装

「北海道ツーリングといえば夏!」
そのイメージ通り、初めて北海道を走る方や、経験の浅いライダーにとって、最もリスクが少なく、かつ北海道らしさを満喫できるのが7月から8月にかけてのシーズンです。
この時期の北海道は、本州の梅雨明けのような猛烈な蒸し暑さがなく、カラッとした空気の中を走ることができます。
札幌や旭川などの内陸部では日中の気温が25℃〜30℃まで上がりますが、走行風はドライヤーの熱風ではなく、天然のクーラーのように爽やか。
Tシャツの上にメッシュジャケットを羽織り、広大な大地を駆け抜ける爽快感は、この時期にしか味わえない特権です。
「道央の熱気」と「道東の冷気」のギャップに注意
ただし、北海道の夏には「二つの顔」があることを知っておく必要があります。
これが初心者が最も陥りやすい罠です。
- 道央・内陸(札幌・旭川・富良野)
盆地特有の暑さがあり、真夏日になることも。メッシュジャケットが最高に気持ち良いエリア。7月中旬〜下旬はラベンダーが見頃を迎え、観光のベストシーズンとなります。 - 道東・道北(釧路・根室・稚内)
オホーツク海や親潮の影響で、真夏でも最高気温が20℃に届かない日がザラにあります。特に釧路周辺は海霧(ガス)が発生しやすく、走行中は「冷蔵庫の中」にいるような寒さを感じます。
服装の正解は「メッシュ + 防風インナー」
基本装備は通気性の良いメッシュジャケットで問題ありませんが、必ず「ポケッタブルのウインドブレーカー」や「薄手のダウンベスト」をバッグの取り出しやすい場所に忍ばせてください。
道央から峠を越えて道東に入った瞬間、気温が10℃近く急降下することも珍しくないため、すぐに羽織れる準備が快適さを左右します。
キャンプツーリングに最適な気温と「虫」対策
7月・8月は、夜間の最低気温も15℃〜20℃程度で安定しており、キャンプツーリングのハードルが最も下がる時期です。
高価な冬用シュラフ(寝袋)は必要なく、コンパクトな3シーズン用や夏用シュラフで十分に快眠できます。
積載量が限られるバイク旅において、嵩張る寝具を軽量化できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
一方で、この時期は自然界も生命力に溢れており、ライダーの天敵である「アブ」や「ブヨ(ブユ)」が活発になります。
混雑のピークをかわすコツ
7月の連休やお盆期間は、富良野や美瑛などの人気観光地、主要国道が大混雑します。
駐車場待ちで時間を浪費しないためには、「早朝行動」を徹底しましょう。
朝5時〜6時に走り始めれば、人気の「青い池」や「ジェットコースターの路」も貸切状態で楽しめますし、昼過ぎには宿に着いてゆっくり体を休める余裕も生まれますよ。
6月は梅雨がなく晴天率が高い狙い目の月

「北海道ツーリングを極めたベテランは、なぜ6月を選ぶのか?」
その答えは非常にシンプルです。
本州のライダーたちがジメジメとした梅雨空の下、バイクにカバーを掛けて我慢を強いられている時、北海道には一年で最も爽やかで、生命力に満ちた青空が広がっているからです。
観光シーズンのピーク前で混雑が少なく、旅費も抑えられる。
そして何より「走れる時間」が圧倒的に長い。
6月は、純粋にライディングを楽しみたい人にとって、まさに「プラチナチケット」のような時期と言えます。
「蝦夷梅雨」の誤解と本当の気候
よく「北海道には梅雨がない」と言われますが、実際には6月中旬頃にオホーツク海高気圧の影響で数日間曇りや小雨が続く「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」と呼ばれる現象が起こることがあります。
しかし、本州の梅雨前線のように何週間も雨が降り続くわけではありません。
降水量は統計的にも少なく、湿度が低いため、雨上がりでもカラッとしています。
新緑が洗われてより一層鮮やかになる、美しい初夏の風景に出会える確率の方が遥かに高いのが6月の特徴です。
最強の武器「夏至」による活動時間の最大化
6月のツーリングにおける最大のメリットは、日照時間の長さです。
夏至(6月21日頃)周辺の北海道は、私たちの想像を超えて「昼」が長いです。
例えば、札幌の日の出は3時55分頃、日の入りは19時18分頃。
道北の稚内に行けばさらに長く、夜の19時半を過ぎてもまだ空に明るさが残っています。
朝4時から活動を開始すれば、夕食の時間までに15時間以上もたっぷりと時間を使えるのです。
| 項目 | 6月の特徴 | ツーリングへのメリット |
|---|---|---|
| 日照時間 | 一年で最も日が長い (活動可能15時間以上) | 不測のトラブルや寄り道があってもリカバリーしやすく、1日500km超の移動も視野に入る。 |
| 混雑度 | 本格シーズン前 (観光客はまだ少ない) | 人気スポットで並ぶ時間がなく、自分のペースで快走できる。写真に他人が写り込まない。 |
| コスト | フェリー運賃が 通常期(期間A・B) | 繁忙期(期間D)に比べて往復で数万円安く、浮いたお金で個室へのアップグレードも容易。 |
| 景色 | 残雪と新緑のコラボ | 山頂に残る雪の白さと、麓の萌えるような新緑のコントラストはこの時期だけの絶景。 |
花と絶景のベストタイミング
6月下旬は、道北エリアが見頃を迎えます。
特にサロベツ原野や稚内周辺では、オレンジ色の「エゾカンゾウ」が一斉に咲き誇り、緑の草原を鮮やかに彩ります。
利尻富士に残雪がくっきりと残っているのもこの時期までで、オロロンラインから望むその姿は神々しささえ感じさせます。
「寒さ」への備えだけは万全に
唯一のデメリットは気温です。
日中は20℃前後で快適ですが、早朝や日没後は放射冷却により気温が一桁台(5℃〜8℃)まで下がることが頻繁にあります。
「初夏だから」と油断してメッシュジャケットで来ると後悔します。
防風インナーやフリースを着込んだ3シーズンジャケット装備が、6月の北海道を快適に楽しむための正装です。
9月や10月の秋は紅葉とグルメが魅力

「走り」だけでなく、「観る」「食べる」ことに重きを置く、旅慣れた大人のライダーにこそ強くおすすめしたいのが秋の北海道です。
9月に入ると、北海道の空気は一気に入れ替わります。
夏の喧騒が去り、少し寂しさを感じる冷涼な風と共に、大地が一年で最も鮮やかに色づく季節の到来です。
日本一早い「紅葉前線」を追いかける感動
北海道の紅葉は、日本で一番早く始まります。
9月上旬には大雪山系の黒岳や旭岳の山頂付近から色づき始め、約1ヶ月かけて徐々に麓へと降りてきます。
中でも、ライダーなら一度は走るべき絶景ルートが「三国峠(みくにとうげ)」です。
標高1,139m、北海道の国道で最も高いこの場所では、9月下旬から10月上旬にかけて、眼下に広がる広大な樹海が黄色やオレンジに染まります。
その黄金色の海原を、赤いアーチ橋「松見大橋」で空を飛ぶように駆け抜ける体験は、ヘルメットの中で思わず叫んでしまうほどの感動があります。
胃袋がいくつあっても足りない!「食の収穫祭」
そして何より、秋は北海道が「食材の宝庫」であることを最も実感できる季節です。
まさに食の全盛期、どこで何を食べても美味しい「収穫祭」状態になります。
- 海の幸
川を遡上する脂の乗った「秋鮭(アキアジ)」や、スーパーに山積みになる生の「筋子(イクラ)」。道東の厚岸(あっけし)やサロマ湖では、カキやホタテも身が締まり濃厚な味わいに。サンマの水揚げも見逃せません。 - 大地の幸
収穫されたばかりの新じゃが、タマネギ、カボチャ。そして何より「新米」です。道端の直売所で売られている茹でたてのトウモロコシは、フルーツのように甘くジューシーです。
意外かもしれませんが、この時期は北海道民が愛するコンビニ「セイコーマート」の店内調理おにぎり(ホットシェフ)でさえ、新米の登場によって格別の美味しさになります。
高級店に行かなくても、おにぎり片手に紅葉を見るだけで最高の贅沢になりますよ。
美しさと隣り合わせの「リスク」を知る
ただし、秋のツーリングは天候との戦いでもあります。
9月は台風の通り道になることがあり、10月に入ると標高の高い峠では「雪」が降ります。
峠は「冬」だと思ってください
平地では冷たい雨でも、峠に行くと雪やブラックアイスバーン(凍結)になっていることが頻繁にあります。
特に中山峠や日勝峠などの主要ルートでも、10月中旬以降は夏タイヤでの走行が命取りになる場合があります。
「雨が降ったら峠は越えない」「迂回路を確認する」「勇気を持って停滞する」という判断力が、秋の旅を安全に楽しむための必須スキルです。
寒い時期の走行に必要な防寒装備の選び方

「北海道は涼しい」というイメージで渡道すると、涼しいを通り越して「極寒」の洗礼を受けることになります。
私自身、真夏のお盆時期に道東の峠を走っていて、寒さのあまり意識が朦朧とし、自販機のホットコーヒーにしがみついた経験があります。
特に道北や道東エリア、標高の高い峠道では、7月や8月の日中でも気温が15℃を下回り、雨が降れば体感温度は一桁台まで急降下します。
ましてや6月や9月、10月のツーリングにおいて、防寒対策の不備は「寒くて辛い」だけでなく、低体温症による判断力低下を招き、事故に直結する命に関わる問題です。
合言葉は「本州の季節感マイナス2ヶ月」
服装選びの基本ルールは、本州の感覚から2ヶ月季節を戻すことです。
8月なら本州の6月(梅雨寒の日)、9月なら本州の11月(初冬)の装備をイメージしてください。
6月や9月、10月のツーリングでは、メッシュジャケットは基本的に役に立ちません。
防風・防水機能のしっかりした「3シーズンジャケット」か、時期によっては「冬用ジャケット」が必須です。
その上で、気温の変化に合わせてこまめに体温調整ができるよう、レイヤリング(重ね着)システムを構築しましょう。
| 時期・シーン | 推奨レイヤリング(装備例) |
|---|---|
| 5月・10月 (極寒) | 【冬用装備フルセット】 冬用ジャケット + 厚手フリース/電熱ベスト + 冬用インナー オーバーパンツ + 冬用グローブ + ネックウォーマー |
| 6月・9月 (肌寒い) | 【3シーズン対応】 3シーズンジャケット + ウルトラライトダウン/防風インナー 防風ジーンズ + 3シーズングローブ(予備でレイングローブ) |
| 7月・8月 (快適~涼しい) | 【夏用+α】 メッシュジャケット + 長袖ウインドブレーカー(常備) ※道東や雨天時はインナーダウンが必要になることも多々あり |
手先の冷えは「死」に直結する
体の中心が温かくても、手先が冷えて感覚がなくなると、ブレーキやクラッチの微妙な操作ができなくなります。
これはライダーにとって致命的です。
「ハンドルカバー」は正義の装備
「見た目がダサいから…」と敬遠されがちなハンドルカバーですが、北海道ツーリングにおいては「最強の実用装備」です。
雨風を完全にシャットアウトするコタツのような温かさは、一度使うと手放せません。
グリップヒーターがない車両なら、恥ずかしがらずに装着することを強くおすすめします。
誰も見ていませんし、見ているのはエゾシカくらいです。
レインウェアは最高の防寒着
意外と忘れがちなのが、レインウェア(カッパ)の防寒性能です。
高価なゴアテックスなどでなくても構いません。
雨が降っていなくても「寒い!」と感じたら、すぐにジャケットの上からレインウェアを着てください。
風を完全に遮断することで空気の層ができ、体感温度が一気に上がります。
「カッパは雨具兼防寒具」として、すぐ取り出せる場所にパッキングしておくのが、北海道を快適に走るための知恵ですよ。
費用と予算を抑えるなら安い期間を選ぶ

北海道ツーリングの総予算を計算したとき、その半分近くを占めて驚愕するのが「フェリー代」です。
ガソリン代や食費を数百円単位で節約するよりも、フェリーに乗る日程を調整するだけで、数万円単位のコストカットが一瞬で可能になります。
実は、フェリーの運賃は一年中同じではありません。
航空券やホテルのように、需要に応じて「期間A(最安)」から「期間D・E(最高値)」まで細かくランク分けされており、全く同じ船、同じ個室、同じバイクでも、乗る日が違うだけで料金が倍近く跳ね上がることがあるのです。
衝撃!1日で変わる運賃の差をシミュレーション
具体的にどれくらいの差が出るのか、関東ライダーの主要ルートである「商船三井フェリー(大洗〜苫小牧)」の夕方便を例に、大人1名(ツーリスト/雑魚寝等の最安等級)+750cc以上のバイク1台の片道運賃で比較してみましょう。(※運賃は燃料油価格変動調整金を含まない概算です)
| 期間設定 | 対象時期の目安 | 片道運賃目安 (人+バイク) |
|---|---|---|
| 期間A (通常期) | 4月〜5月、10月〜 (GWを除く平日など) | 約 23,000円 |
| 期間B・C (準繁忙期) | 6月、9月、週末など | 約 27,000円 〜 32,000円 |
| 期間D・E (最繁忙期) | GW、お盆、年末年始 (7月中旬〜8月中旬) | 約 40,000円 超 |
いかがでしょうか。期間Aと期間Dでは、片道だけで約1万7千円以上、往復だと3万5千円近くもの差が生じます。
これだけの金額があれば、北海道での食事を全て豪華な海鮮丼にグレードアップしてもお釣りがきますよね。
狙い目は「期間の変わり目」と「インターネット割引」
「仕事の休みがお盆しか取れない…」という方も多いと思いますが、もし日程を1日か2日ずらせるなら、フェリー会社の公式サイトにある「運賃カレンダー」を必ずチェックしてください。
例えば、お盆のピークが始まる前日の「期間C」に出発したり、帰りの便をピーク後の「期間B」にずらしたりするだけで、混雑を回避できる上にコストも大幅に下がります。
たった1日の違いで、扱いが「繁忙期」から「通常期」に変わるボーダーラインが存在するのです。
知らなきゃ損!割引テクニック
多くのフェリー会社では、電話予約ではなくWEBサイトから予約することで適用される「インターネット割引(5%〜10%程度)」を用意しています。
往復割引と併用できる場合もあるので、予約は必ずスマホやPCから行いましょう。
また、時間と体力に自信があるなら、青森や新潟まで自走して航路を短くすることで、フェリー代そのものを圧縮する「自走ミックス作戦」も有効です。
浮いたお金で、積丹半島の高級ウニ丼(時価4,000円〜)を食べたり、最終日はビジネスホテルでゆっくり疲れを癒やしたりする。
そんな「賢い旅」を実現するためにも、カレンダーとにらめっこする時間は決して無駄にはなりませんよ。
成功に導く北海道ツーリングのおすすめ時期と計画

最適な時期が決まったら、次は具体的な計画立てです。
北海道は広大ゆえに、移動距離やリスク管理の感覚が本州とは全く異なります。
地図上で近く見えても100km離れているなんてことはザラです。ここでは失敗しないための計画のコツをお伝えします。
争奪戦となるフェリー予約は2ヶ月前に完了させる

本州から自走で北海道へ向かうライダーにとって、最大の難関かつ最初の試練が「フェリーの予約」です。
特に、首都圏からのアクセスが良い「大洗~苫小牧(商船三井フェリー)」や、関西・日本海側からの「舞鶴・新潟~小樽(新日本海フェリー)」などの人気航路は、繁忙期になるとプラチナチケット化します。
「まだ先だから大丈夫」と思っていると、気付いた時にはバイクの積載枠が満車…なんてことになりかねません。
確実に切符を手にするためには、予約開始のルールを正確に把握し、戦略的に動く必要があります。
運航会社で異なる「予約開始日」をチェック
フェリー会社によって予約開始のタイミングが異なります。こ
れを間違えると、戦う前に負けてしまいます。
基本は「2ヶ月前」または「3ヶ月前」の同日午前9時です。
| フェリー会社 | 主な航路 | 予約開始のタイミング |
|---|---|---|
| 商船三井フェリー (さんふらわあ) | 大洗 ⇔ 苫小牧 | 乗船日の2ヶ月前の午前9時 |
| 新日本海フェリー | 舞鶴・新潟 ⇔ 小樽 敦賀・秋田 ⇔ 苫小牧東 | 乗船日の3ヶ月前の午前9時 |
| 太平洋フェリー | 仙台・名古屋 ⇔ 苫小牧 | 乗船日の2ヶ月前の午前9時 |
| 津軽海峡フェリー | 青森・大間 ⇔ 函館 | 乗船日の3ヶ月前の午前9時 |
予約当日の「9時打ち」必勝法
特に7月の連休やお盆期間、個室やバイク枠を狙う場合は、予約開始日の午前9時ジャストに予約操作を完了させる「9時打ち」が必要です。
数分遅れただけで「満席」の表示が出ることも珍しくありません。
- 事前の会員登録は必須
予約時に入力の手間を省くため、事前に公式サイトで会員登録を済ませておきましょう。 - 車検証を手元に
予約にはバイクの正確な長さ(全長)やナンバープレートの情報が必要です。車検証を手元に用意するか、スマホで写真を撮っておくとスムーズです。 - 第2・第3希望を決めておく
夕方便がダメなら深夜便、個室がダメならカプセル寝台と、瞬時に切り替えられる代替案を用意しておきましょう。
満席でも諦めない!「キャンセル料発生日」の法則
もし予約合戦に敗れて「満席」になっても、決して諦めないでください。
フェリー予約には、キャンセルが出やすい「特異日」が存在します。
それが「出港の7日前」です。
キャンセル待ちの狙い目
多くのフェリー会社では、出港の7日前まではキャンセル料が数百円(200円〜500円程度)で済みますが、7日前を切るとキャンセル料が運賃の10%〜30%に跳ね上がります。
そのため、「とりあえず予約」をしていた人が予定を確定させ、不要な予約を手放すのがこのタイミングなのです。
2週間前から毎日サイトをチェックし、特に7日前前後は数時間おきに確認すると、ポロっと空きが出ることが本当によくあります。
Web予約システム上で「キャンセル待ち登録」ができる場合もありますが、基本的には自分でこまめに空席状況を確認するのが確実です。
執念でチケットをもぎ取りましょう!
オロロンラインなど絶景ルートを巡る日数

「せっかくだから北海道を一周したい!」
その気持ち、痛いほど分かります。私自身も初めて北海道へ渡ったときは、地図を指でなぞりながら壮大な一周計画を立てていました。
しかし、北海道の広さは想像を絶します。
海岸線を忠実に一周すると約2,500kmから3,000kmにも及びます。
これを走り切るには、トラブルなしで走り続けても最低10日、観光や休息を含めると2週間は必要です。
限られた日数で無理やり一周しようとすると、ひたすら「移動するだけ」の旅になり、素晴らしい景色を横目に通り過ぎるだけの苦行になりかねません。
成功の秘訣は、「今回は道北」「次は道東」とエリアを大胆に絞ることです。
ライダーの聖地「道北」を目指すなら2泊3日が最低ライン
例えば、北海道ツーリングのハイライトとも言える、日本海側を北上する「オロロンライン」から、最北端の宗谷岬、そして地平線まで続く「エサヌカ線」を巡るルートを考えてみましょう。
このルートは、信号がほとんどなく、左手に利尻富士、右手にサロベツ原野を見ながら走る、まさにライダーにとっての天国です。
しかし、小樽や札幌を拠点に往復する場合、最低でも2泊3日、できれば3泊4日の日程を確保してください。
| 日程 | ルート目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 1日目 | 小樽 〜 留萌 〜 稚内 (約330km) | オロロンラインのハイライト。オトンルイ風力発電所の巨大風車群や、サロベツ原野の一直線を満喫。 |
| 2日目 | 稚内 〜 宗谷岬 〜 猿払 (約100km〜) | 最北端到達証明書の入手や、白い道、エサヌカ線での記念撮影。距離を抑えて絶景に浸る日。 |
| 3日目 | 名寄 〜 旭川 〜 小樽 (約250km) | 内陸を南下し、美深(びふか)のチョウザメ館や旭川ラーメンを楽しみながら帰路へ。 |
「1日300km」が幸せの限界値
北海道の道は信号が極端に少なく、平均速度が上がりやすいため、本州の感覚なら「1日400kmや500kmはいける」と錯覚しがちです。
これを私は「北海道の距離感覚マジック」と呼んでいます。
しかし、走り続けられることと、旅を楽しめることは別物です。
単調な直線の長距離走行は、知らず知らずのうちに脳と体を疲弊させます。
集中力が切れてエゾシカの飛び出しへの反応が遅れたり、ふと現れた絶景ポイントでUターンするのが億劫になったりしては本末転倒です。
スケジュールの黄金比
一般道での走行距離は、1日あたり250km〜300kmに設定するのが鉄則です。
これなら、気になった看板のお店にふらりと立ち寄ったり、絶景の中でゆっくりコーヒーを沸かしたりする「心の余裕」が生まれます。
「走りすぎて何も覚えていない」という失敗をしないためにも、Googleマップの到着予想時間にプラス2時間ほどの余裕を持たせた計画を立ててみてくださいね。
キャンプ場の営業期間と混雑状況を確認する

北海道ツーリングの醍醐味といえば、やはりキャンプです。
本州では数千円かかるような高規格なオートキャンプ場が、北海道では無料、あるいは数百円という信じられない安さで利用できます。
しかも、見渡す限りの草原や湖畔などロケーションも最高。
まさにキャンパーの聖地と言えるでしょう。
しかし、素晴らしいキャンプ天国だからこそ、計画時に絶対に押さえておかなければならない「営業期間」と「混雑」という2つの落とし穴があります。
10月は「キャンプ場難民」になりやすい
最も注意が必要なのが、営業期間です。
北海道の秋は訪れが早く、朝晩の気温が氷点下になることも珍しくありません。
そのため、多くのキャンプ場では水道管の凍結防止対策として、10月上旬から中旬にかけて次々と今年度の営業を終了(クローズ)してしまいます。
「10月いっぱい営業」と書かれていても、その年の降雪状況によっては早まることもあります。
特に道北や道東、標高の高いエリアでは、9月末で閉鎖するところも少なくありません。
夏の人気キャンプ場は「フェス会場」状態
次に注意したいのが、7月・8月のハイシーズンにおける混雑状況です。
「北海道なら広大な大地でポツンと完ソロ(完全ソロキャンプ)ができるはず」と夢見ていると、現実に打ちのめされることがあります。
特に「上富良野日の出公園オートキャンプ場」や「知床国立公園羅臼温泉野営場」といった、ガイドブックやSNSで絶賛されている超人気スポットは、夕方16時頃に到着してもテントを張る隙間すらない…いわゆる「難民キャンプ状態」になっていることが多々あります。
バイクの横にテントを張るどころか、隣の人のイビキが聞こえる距離感で過ごすことになるかもしれません。
静寂を求めるなら「マイナー」を選べ
人混みを避け、静かに焚き火を見つめたいなら、あえて有名どころを外す勇気が必要です。
Googleマップで評価数が少ない町営キャンプ場や、主要国道から少し奥まった場所にある「無名のキャンプ場」をリサーチしてみてください。
「トイレが汲み取り式」などの不便さはあるかもしれませんが、そこには誰にも邪魔されない最高の星空と静寂が待っていますよ。
雨の日や野生動物への対策とリスク管理

北海道ツーリングは素晴らしい体験ですが、その裏には本州とは比較にならないスケールの「リスク」が潜んでいます。
これらを「知っているか、知らないか」が、旅の成否、時には生死を分けると言っても過言ではありません。
ヒグマ以上に恐ろしい「エゾシカ」との遭遇
北海道の道路において、ライダーにとって最大の脅威はヒグマではありません。
圧倒的に遭遇率が高く、衝突すれば命に関わる大事故になるのが「エゾシカ」です。
北海道警察の統計によると、エゾシカとの衝突事故は年間4,000件〜5,000件ペースで発生しており、その件数は年々増加傾向にあります。
エゾシカ事故の現実
(出典:北海道庁『エゾシカとの交通事故防止について』)
成獣のオスは体重150kgを超え、軽自動車並みの質量があります。
バイクで衝突すれば車両は全損、生身のライダーは大怪我では済みません。特に注意すべきは以下の2点です。
- 魔の時間帯(薄暮)
シカは日没前後に最も活発になります。人間の視界が悪くなる夕暮れ時と活動ピークが重なるため、発見が遅れがちです。 - 魔の季節(秋)
10月〜11月は繁殖期です。オスがメスを追いかけて広範囲を移動し、道路へ猛スピードで飛び出してくるため、こちらの存在などお構いなしです。
唯一にして最強の対策
それは「日没後は絶対に走らない」ことです。
北海道の郊外は街灯がほとんどなく、漆黒の闇に包まれます。
バイクのヘッドライトの光だけでは、道路脇から飛び出してくる黒い影には反応できません。
秋なら16時半、夏でも18時にはその日の走行を終えて宿に入る計画を立てることが、自分の身を守る鉄則です。
「気持ちいい直線」こそ警察の狩場
リスク管理で見落としがちなのが「速度超過」です。
北海道の道は信号がなく、地平線まで続くような見通しの良い直線が多いため、アクセルを少し開けるだけで無意識のうちに速度が出てしまいます。
しかし、警察もそれを熟知しています。
何もない原野の真ん中でレーダーパトカーが待ち構えていたり、上空のヘリコプターから計測されていたりすることは日常茶飯事です。
一発で免許停止になるような速度超過で捕まれば、楽しかった旅はその瞬間に終了してしまいます。
「地元の車が飛ばしていても自分はペースを守る」という強い意志を持ってください。
真夏でも起こる「低体温症」の恐怖
最後に「雨」と「寒さ」への対策です。北海道の雨は、真夏であっても非常に冷たいです。
走行風を受け続けるバイクの場合、体が濡れると気化熱で体温が急激に奪われ、7月や8月でも「低体温症(ハイポサーミア)」になるリスクがあります。
体が震えて判断力が鈍り、手がかじかんでブレーキが握れなくなってからでは手遅れです。
防水装備の落とし穴
「防水透湿」と謳われているライディングブーツでも、北海道のような長時間・長距離の激しい雨中走行では、構造上どうしても浸水することがあります。
靴の中が濡れる不快感と足先の冷えは、ライダーの体力を確実に削ぎ落とします。
見た目はスマートではありませんが、ホームセンターなどで買える安価な「バイク用ブーツカバー」を持参することをおすすめします。
これさえあれば、どんな豪雨でも足元はドライで温かいまま。
予備の完全防水グローブと共に、バッグの奥底に入れてお守りにしてください。
あなたに最適な北海道ツーリングのおすすめ時期

最後までお読みいただきありがとうございます。
結論として、あなたにとっての「おすすめ時期」は、旅に何を求めるかという優先順位で決まります。
- 失敗したくない・王道の北海道らしさを体験したいなら: 7月中旬〜下旬
- 走りを楽しみ・混雑や出費を避けたいなら: 6月(特に中旬以降)
- 食と絶景・キャンプを深く楽しみたいなら: 9月上旬〜中旬
どの季節を選んでも、北海道はそれぞれ違った素晴らしい表情と感動であなたを迎えてくれます。
しっかりとした装備の準備と、余裕を持った計画で、一生の思い出に残る最高のツーリングを実現してくださいね。
くれぐれも安全運転で、行ってらっしゃい!
参考